<ヨーロッパ各国を国境検査無しで自由に移動できる制度 ~シェンゲン協定~ >
そもそもヨーロッパ各国をパスポートの提示無しに移動できるのは、多くの国が署名する「シェンゲン協定」が、国の間での国境検査を撤廃すると定めているからです。
現在、EU加盟国では英国、アイルランドを除くほとんどの国が既に加盟又は加盟予定となっています。また、非EU加盟国でも、ノルウェー、アイスランド、スイスが加盟しています。
地図と見比べてみるとシェンゲン協定締約国の分布が一目瞭然で、旅行者にとって実に便利なことが良くおわかりだと思います。
<フランスでのテロが状況を変えた>
このシェンゲン協定は、旅行者にも便利でしたが、同時にテロリストに便利な制度でもあったことがフランス同時多発テロで明らかになりました。
同事件では、犯人は難民としてギリシャから入国したとみられており、難民に紛れてテロリストが入国する危険が現実のものとなったのです。
大量に流入する移民・難民だけでも厄介な問題を抱えており、大晦日にケルンなどの諸都市で移民が婦女暴行を含む事件を起こしたのは記憶に新しいところです。それに加えて、テロの危険まで高まるとなると、各国も慎重にならざるを得ません。
シェンゲン協定は例外的な状況において最長2年間に限り国境での入国審査の再導入を認めると定めていることから、既にオーストリア、ドイツ、デンマーク、スウェーデン、フランス、ノルウェーが、6か月の期限付きで入国審査を再導入しています。
また、EU各国は、最長2年の延長がありうるということで認識が共有されているとの報道がなされています。
<シェンゲン協定は復活するのか?それとも、永遠に停止してしまうのか?>
いま、この瞬間も多くの移民・難民が欧州に押し寄せています。
移民・難民をどう管理していくのかを早急に決め、実施して行くことが、入国審査の撤廃という姿に戻す前提になるでしょう。
しかし、それは決して容易なことではありません。
EUの関係者や各国の閣僚からは、シェンゲン協定に対する批判的な発言もみられます。
デンマークでは、難民対策として、難民から1万クローネ(約17万円)相当以上の貴重品を没収する権限を警察に与える法案を可決するなど、難民対策は各国でも進んでいくことと思われます。
EU大統領は「難民対策を打ち出すには3月がタイムリミット」とも発言しており、これから1か月ほどの間に打ち出される対策が、シェンゲン協定という制度を維持するかを決めることになるのです。
旅行者にとっても影響が大きく、関心が高まるこの話題。引き続き、EUの動向には注意していく必要がありそうです。